wakeupandpresentの日記

いつもは映像作品を作ってます。ここでは西田学くんの大冒険を載せていきます。

「西田学人生初の京都へ行く」第28話「悪夢はどのようにして幕を開けたのか」

28話

 

あと60秒早ければよかったのに、この一分の違いで俺はまた別のバスを

後ろから付いてくる一方に悟られることなく探す羽目になる。

三上「お前どのバス乗るのかわかんねぇだろ。」

気づいていた。

俺「いや、あの~時刻はわかっててぇ…53分のバスに乗るんだけど

三上「どこ?」

「どこっ?」って聞かないで。先を急がないで。順路を隔ててゆくゆくそこへ行き着くから、それまでの俺の苦労を聞いて。

結局一向に気づかれたがどうしようもできないので再びバスを探す。

今は45分、10分を切った。結構時間が押してきている。だんだん乗れるか心配になってきた。いや、でもみんな分かってくれ。

こんなことは想像もしていなかったんだ。

自宅のパソコンではわからないことなんだ。

もう振りもいらない。なりふり構わず走る。

バスは!バスはどこだ!どこにでもいい!バスよ出てこい!

心の中でそう叫ぶ。

二つバス停が出た。視界の前方、および右側それぞれ数百メートル先に二つあった。

う~わぁーどっちだぁ

正解が一つだけポーンて出てきて欲しかったんだけどなぁ

カメラで見た時刻は50分。時間的に二つ分の停留所はまわれない。

どちらか一つに賭けるしかない。

俺「ぉえぇ~?どっちだよー

くっそ、なんでこんな数百メートルで歩みが止まるんだ。

俺が思い描いていた京都巡りと早くもビジョンが違う。

もうどうしよう?どっちが正解なの!?

見た感じは同じバス停。違いがない。相違点が見つからない。

時刻表が55分なのだ、

必ずどちらかはそうなんだろうけどそれがわかんねぇんだよなこの距離じゃ、

う~~~~~~~ん

右でいいや。

完全フィーリングで答えを出した。

実際目で見た感じ右に見えるバス停の方がすこし距離が少なそうに見えたのだ。

よっしゃ、進め。さらに小野田くんがねぇねぇと言って俺に話しかけてきた。

滅多に話さない彼から話しかけるということはよほど重要な情報なはずだ。

小野田くん「あのさぁ今四つバス停あるじゃん。」

俺「うん。あったねぇ、」

小野田くん「バス停の名前見るとさ、〈東〉とか〈南〉とか書いてあって

これ東西南北のバス停だと思うのね。」

俺「へぇ~すごいね、よく気づくね。」

小野田くん「で、この資料〈俺が自宅でプリントしてきた資料〉

55分のバスにのるって西って書いてあんの。」

俺「えぇ。」

小野田くん「右下の地図記号から北はこっちだから西はここ。

今前に見えるのが南側のバス停、右にあるのが西のバス停。

だから右のバス停だと思う。」

俺「あぁあ~!」

ユリーカした。そんでもってこいつは天才か。

四つあって東西南北に合わせてバス停が置かれて

今俺たちが行きたいのは西だからっつって

すげぇ~。金田一小野田じゃん、コイツは。

フィーリングで決めた右がすっごい理由付けされたよ。よかったな右。

時計は53分。あ、やべ、急げ!

もはや傘も閉じ雨に当たっていった。

ダダダダダダダダダダ

ダッシュ

バス停ついた!もうバス止まってる。時計は55分だった。正解だ。

全員はそれぞれカードを入れ料金を払った。一日券だ。早速役に立った。

得な気持ちになる。早朝で天候が悪かったために座席に座れた。

それでも地面はバケツ一杯の水をぶちまけたように雨で濡れていて

ヌルヌルしていて嫌だった。横は小杉Bだった。ここから十数分移動する。

俺は資料に目を通しその間小杉Bはゲームアプリの「ディズニーツムツム

に全神経を注いでいた。ひと段落し、息をつく暇ができ安心したのか疲れを覚えた。

このちょっと疲れた時に甘いものを入れると嘘みたいに気分が良くなる。

そういった意味ではこの疲れたコンディションはある意味準備万端と言えた。

まじで楽しみになってきた。音羽屋~まってろよー、縁起物だかなんだか知らないが俺らが喰らい尽くしに行くからな~。でもなんだろう。音羽屋に近づくにつれ強くなるこのもやもやした気持ち。何か大切なことを忘れている気がしたが

思えば俺はいつでももやもやしているので今回もそのせいだろうと思い心配はしていなかった。しかしこの忘れていたことが俺の京都の旅を破滅へと導く引き金になることなんてバスに乗ってヌルヌルした地面が嫌だから靴を脱いで靴下を前にあるアミアミのポケットに突っ込んでいるこいつには知る由もなかった。

 

 

9:20

そして所定の駅についた。

我々は(止まりますボタン)をプッシュしバスから降りた。

地図を見ると少し行きすぎてしまったらしかった。

戻り歩く我々。

どうやら音羽屋は商店街内にあるらしく、我々は人気のない商店街へ入っていった。

雨のこともあり一行は明らかに疲労していた。

これを今から訪れてやる甘味所でリフレッシュさせる。

こう考えると雨もこの企画もなかなか筋がとおっているように思えた。

全てがいい方向に進んでいた。雨でさえ味方に思えた。

 

ここは自動車が通れる商店街。

歩道は車道を交えて二つに分けられており我々はそのうちの一つを歩いていた。

そのうち我々は商店街の終わりへ行き着いてしまった。

商店街にあるのは写真を見るかぎり間違いない。

恐らくもう一つの歩道の方に店が面しているのだろう。

もう一方の道路を俺たちは歩き始めた。

そして歩くこと更に数分。ついに音羽屋は姿を表した。

外観は普通だが明らかに俺らが求めていた音羽屋だ。看板を見て興奮する。

俺「あったァアァァアアァァ!」

三上「やっと着いたよぉ~

小杉B「早く食おうぜ、」

みんな口々に声を出し喜んでいた。

もちろん小野田くんも口には出さなかったが微笑んでいた。

いよいよ音羽屋でお菓子を食い尽くす時が来た。

現在の時刻は午前九時ちょい過ぎ。

音羽屋は資料によると九時から営業開始している。

人気の無さといいこの時間といい完璧に俺らが本日のお客さん第一号だ。

フラグ立ったね。来たねこれは。

扉に手をかける。

開かない。

チョイチョイご冗談を。

もう一度手をかける。

嘘だろ開かなかった。

資料をもう一度見てみる。

そして音羽屋の紹介文を穴の開くほど見つめた時

俺はようやくさっきの違和感の正体に気付いた。

音羽屋は日曜日に開店していなかった。

そうだった。

そう言えば日曜やってないってみたわ俺、

ガイドブックの下の営業時間に書いてあったわ。

いや待てって、ちょい待ち。

気付いてたんだったら何で行動予定表から外さなかったんだ?

そして俺は再び気付いた。この一文だ。これを見て俺は外さなかったんだ。

その一文は(11月のみ無休)と書いてあった。

言わずもがな今日は2014119日。どう考えても11月だ。

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ほら!


 

そりゃ外さんわ。続行するわ、逆に。

丁度11月に京都行くし、なんて偶然!

神タイミング!入れない手はないわ!

って思うわこんな表記。

で、東京で思って実際出向いたらこれですよ。

開かんがな。

おもいっきり鍵かかってまんがな。

これってあれでしょ、店を持つ亭主しか持つことを許されない店鍵でしょ、これ。

もう絶対今日来る気無いでしょ、亭主。

俺「開かねぇ

小杉B「はぁ?なんでだよ!?」

小野田くん「(・o・)」

当然驚く一行。事情を説明するが小杉B

「ふざけんな」の一点張りで納得してくれなかった。

そしてさっきからずっと資料を読み込み黙っていた三上が顔を上げ言った。

三上「電話しよう。」

びっくりした、急に何を言い出すんだ三上、でも残念だが俺の首からぶら下がってるこの二つ折り携帯ではかけることは出来ないぞ。

俺「いや、この携帯警察救急車以外どこにも掛かんねぇぜ?」

三上「ちげぇよ、俺ので掛けんだよ。」

なんと三上は自らの携帯を懐から取り出した。

明日香村サイクリングで携帯に関するヒヤリとした体験を経験している三上。

それ以来彼の携帯を今まで俺は目にしなかった。

恐らく彼自身あの時から自分が持つ携帯が違反物ということを少なからず意識しだし露出を抑えていたのではないかと俺は思っていた。

人目が多く付くような場所では見つかるリスクが増す。

特に今日は京都という公衆の場でほぼ一日を過ごす。

さらに金閣寺銀閣寺やその他の区域にランダムに先生が徘徊をしている。

おそらく今日は出さないだろうと思っていた俺だが三上は出しちゃった。

それほどにまで諦めきれないということが彼の危険なその行動をみて読み取れた。

電話番号が資料にはのっている。三上は指を動かし入力している。

無言で待つ一行。

耳に当てる三上。電話を掛けたようだ。かすかに漏れるコール音。

そして電話はかかった。三上は数言会話をし「ありがとうございました」と電話を切った。

俺「どうだった。」

三上「今日はやってませんよって

俺「え、11月は無休っていう事は?

三上「聞いたけどよく分からなかった。相手はおじいちゃんだったし

ずっと今日はやってないって言い続けてて、これ以上聞くのかわいそうだから切っちゃった。」

いや駄目だって。これはやっちゃ駄目だって音羽屋!

俺らはるばる東京から県を跨いでやってきた身ですよ。

書いたからにはちゃんと守ろうって!

こんなところで閉め出すなよマジで!縁起物のお菓子食わせてよマジで!!

小杉B「おい~どうすんだよマジで、」

口調に苛立ちが混じり始めた小杉B。(・o・)の顔のままな小野田くん。

携帯を静かに見つめ続ける三上。それを見る俺。

雨は止む気配がない。

これどうすればいいの?