wakeupandpresentの日記

いつもは映像作品を作ってます。ここでは西田学くんの大冒険を載せていきます。

「西田学人生初の京都へ行く」第7話「シカはなぜ西田に群がってきたか」

第七話

 

15:30

 

バスに乗ってホテルに出発するまで残り30分。

そこでついに生徒達にシカと戯れる時間が与えられた。

みんな個人出費でしかせんべいを買っては思い思いにシカに食べさせている。

さっそく小杉B、島田くんといっしょにシカせんべいを買ってみる事にした。

シカせんべいは150円で10枚入り。周りのシカはこいつをばくばく食べている。

f:id:wakeupandpresent:20200410005704p:plain

ふつうに美味しそう

あんだけ美味しそうに食べるなら人間が食べても旨いのでは?

パリッ

あ、旨いっす。

甘さとかは無いけど全体的に香ばしい感じですね。こいつは。 

さぁいざシカに餌やり!

俺「ズンチャッ。ズンチャッ。ズンチャッ。ズンチャッ。ズンチャッ。」

シカの目の前に俺が立ちはだかる。

シカは普通に方向転換。

どっかに行っちゃった。

もう一回同じシカに立ちはだかる。

また障害物のように俺をよけようとするシカ。

すかさず背中に隠してたしかせんべいを掲げる

シカが嘘のように近づいてきた。

一枚あげた。

シカはヒトと違って手という部位はついておらず

代わりに足が前後で四本ある。そのため物を食べるときは

必然的に顔だけで食べる。

俺も一度や二度サクサクのクッキーを顔だけで食べるというチャレンジに挑んだ事があったが見事に二つに割れ床に落下。床に当たった衝撃でさらに分解。

結果ティッシュと水と掃除機で5、6分かかって掃除するという何も得ない結末に終わった。

だがこのシカはどうだ、口だけを使いせんべいのかけら一つのこさずに食べてしまう。

シカがせんべいをもしゃもしゃ食べているだけなのに

その一連の動作はまるで短編映画を一本見ているように壮大だった。

しかしそんな俺を悲劇が襲う。

一匹のシカのえさを食べる様子に夢中で他のシカが背後に迫っている事に

気づかなかったのだ!気づく俺

俺「ヒョーーーーーー!」

 

慌てて持っているしかせんべいをあげようとする。

が、片手にカメラ持っているので開けるのに時間がかかる!

するとシカついに待ちきれず腰につけていたポーチを食べてきた。

俺「止めなさい!あげるから止めなさい!」

f:id:wakeupandpresent:20200410005413p:plain

シカに噛まれた後のポーチ。なんかぬれてる。汚ねぇ!

手に持っているしかせんべいの高さまで顔を突き出してくるシカたち

怖すぎる!とりあえずあげないと!殺られちまう!

俺「ホラッはいっ!」

エサをあげる。生き延びる為に。

なんとかせんべいを3、4頭いるシカに一枚ずつ渡した、なんとか逃げれそうだ。

その時安心してしまった私は油断してしまった。

シカ「パク」

俺「あっ!緑の帯!あげちゃった!」

そう。しかせんべいの束をまとめるため始め渡された時

せんべいは細い緑の紙でくくられていたのだ。

俺ははじめのシカにせんべいを渡すためそれを外したあとその帯はせんべいの一番下に、つまり手とせんべいで挟んでいる状態だった。

奇跡の生還に安堵した俺はシカにせんべいと一緒に緑の紙の帯を食べさせてしまったのだ。

緑の帯は始めシカの口から細く伸びていたがだんだんシカが口を動かすごとに帯は吸い込まれていき、

シカはいつもの悟りの表情を崩さず帯を食べきってしまった。

俺「え、大丈夫なの?」

シカは何も言わず去ってしまった。ポーカーフェイスの達人だ。

あれだけシカの事について語っていた小杉Bもさすがに怖かったようだ。

買ったしかせんべいの半分を俺にくれた。

島田くんはシカに劣らぬ無表情で餌やりを続ける。

結果俺と小杉Bがまとめた結論としては

シカは近くで見るとよだれが垂れてていたり、ウンコを普通に踏んでいたり、

鼻息をふんがふんがして全然かわいくないので

遠くから眺めるレベルが一番良いんだという事になった。

 

その後、案外怖かったシカ達から解放された我々は再びバスに乗車。

ここから本日の宿泊先「多武峰観光ホテル」へ向かう事になる。

みんなも意外に疲れたのか寝る生徒が増えさっきほど車内はうるさくならなかった。

(それでも完全に静かになった訳ではなかった。)

 

17:28

 

ついにホテルについた。

ホテルは全体的に洋と和が混ざったような感じだった。

もうすでに掴みがすばらしいんですが。

 

ホテル宿泊の際クラスは5,6人の班を作りそれぞれ事前に決められた部屋番号へ行く事になっている。

班は二日目からまた変わっていくのだが、この初日の班は俺にとって特別である。

何が特別かというと室長が俺ではないという事だ。

室長は夜9時からのミーティングに参加しなければならない。こんなに気楽な事は無い。

え?じゃあその後の室長は全部お前なのかって?

その通り。

2日目以降全部俺です。

 

学校の特活時間で班を決めた際他の水泳部員2人から無条件で室長にさせられました。なんか2人

「西田と小杉Bと俺。室長は西田。よし決まり。」

みたいにメンバー確認のついでに当然のように付け足していた。

ちなみにホテル宿泊の際の室長だけでなく二日目の午前中のサイクリングメンバーでのリーダー、三日目の京都自由行動の際のメンバーでのリーダーも俺が務める事になっていた。

信頼されている訳じゃない。明らかに違う。

ニヤニヤしてたもんあいつら。

人をニヤニヤしながら信用するってあまり聞いた事が無い。

今夜のメンバーを紹介しよう。メンバーは全部で7人。

まずは水泳部から。俺と小杉B、そして初登場「三上」である。

「三上」については、…………えー……

小杉Bみたいなヤツだと思ってください。

いや、あるよ? 違う所、

微妙に違う所はあるのですがその微妙な違いの為だけに

前回の小杉Bの説明のトツを踏みたくないので省略します。

とりあえず俺は小杉Bにも三上にもいじられているという上下関係を

認識しておけば彼らについては大丈夫です。

後はクラスのムードメーカの分類に入る大西。鉄研で電車好き。

行きの新幹線の下りで出てきたリクとそのライバル上川。

そしてその仲介人である笹原だ。

どうでも良いが笹原の出席番号は12番だ。

別になんの伏線でもないのでこの情報は2秒で忘れてもらって結構です。

以上である。

 

いよいよ今夜泊まる部屋との対面だ

俺「さあ、初めての部屋対面です。」

三上〈歩いている〉

俺「緊張のおもむきです。」

三上「バカか?お前。」

 

 

続く

PS 1日目の夜が始まります。西田くんに安息の時間は訪れるのでしょうか?