「西田学人生初の京都へ行く」第5話「文化財は私の目にどう映ったか」
第五話
13:00
そんなこんなで目的地南大門へついた。ここは興福寺や大仏殿、
二月堂まであるという一つの観光スポットでいくつもの歴史的文化財が見れるというお得な場所なのだ。
さらにここには何十頭のシカが何も繋がれずナチュラルに解放されており
近よって触っても何も攻撃しない為シカせんべいで餌をあげたり、写真を撮るのもオススメだ。
しかし個人的に衝撃だったのはシカより文化財の説明をする人が
あんなに喋っていたバスガイドさんではなく違うガイドさんだったという事だ。
バスガイドさんはあくまでバス内でのガイド、
バスという活動範囲から出たらただの無口な女性になってしまうのだろうか。
新しくガイドしてくれた人は男の人だった。
外という事もありクラスのみんなも静かに聞いていた。まず連れ出されたのは興福寺。
目の前の興福寺を見た第一感想
「ぼろぼろ」
歴史研究者から大根で殴られそうな所感だがガイドさんの説明を聞くうちに
考えが変わっていく。
この寺は廃仏毀釈期という仏の教えを廃する時代に一度売りに出されてしまった。
当時の販売価格は25円。現在価格25万で売られてしまう。
しかも買った人はこの寺の内部にある金属を売るため興福寺を燃やそうとしてしまう。
しかし民衆に火の粉が飛ぶからという理由で全力で寺院の方が説得し
燃やされるのを免れたのである。
ガイドさんの話を聞き終わる頃にはこの寺の印象がすっかり変わっていた。
この寺がいかに危ない橋を渡り危機を乗り切ってきたかが分かったからなのか
聞く前と比べて寺を全くぼろぼろと感じる事がなくなった。
むしろ努力賞をあげたいという気持ちが生まれていた。
その後俺は大仏がいっぱいぱい収納されている興福寺の国宝館へ向かう事に。
ガイドさん「30分経ちましたら。時計で1時50分ですね、
なりましたらここで集合という事で宜しくお願いします。
50分までにここへ来てくれさえしていただければ
途中で建物を出てシカを見ても、ここ(芝生)で遊んでいてもかまいませんので」
大仏は俺の知っている文化財の中ではかなりポピュラー性が高く親しみやすい。
そんな大仏が何十体もある殿など誰が飽きるだろうか。いや飽きないだろう。
大仏一つ一つの表情のチェックは個人的に必須事項。
さらに映画ファンとしてGANTZに出てきた千手観音もしっかりチェックしなければ。
30分で終わるだろうか。これは忙しい。でも興奮してきた。
俺「レッツゴー小杉B」
小杉B「シカ見に行きたい」
何だお前
俺「いやシカってお前…帰りのバスから見れるでしょ、行きみたいに。」
小杉B「触りたい。」
俺「え〜ガイドさんシカと触る時間とるって言ってたし
今は国宝館行こうぜ。」
つねられた。
結局ここだけは譲れなかったので国宝館の中にもシカがいるよとかいう
清々しい程のごり押しで最終的に小杉Bの説得に成功した。
館内は撮影禁止だったので動画を見返す事ができずあまり詳細に書けないが
一番印象に残ったのは千手観音だった。それまでもっていた
「千本も手生えてなくね?」という疑問も千手観音の目の前にあったパネルの説明
によって解決した。千手観音の手は40本ありこの一つの手で25個の世界を救う。
だから40本なら40×25=1000
千手観音の千という数字は手の数を表しているのではなく
どれほど多くの世界を救えるかの数を表しているらしい。
13:53
担任の白川先生は
出席番号によってクラスの所在を確認。
点呼の際相変わらず生徒から先生の真上にあった木を下げられたりして
いじられていた。動画をまわしていた俺も笑ってしまった。
その後再びガイドさんの道案内によって歩き始めた。
移動中。シカの存在は知っていたが小杉から聞いただけで実物は見ていなかった。
でも小杉Bが指差した方角にいたシカを見てビビった。
俺「本当にシカいんの?」
小杉B「ほらほら。あれ、」
俺「うぉっ!いるっ!え?寝てる!?」
とんでもないデカさなのだ。普通にシカキックとか繰り出されたら東京まで戻っちゃうんじゃないか?いや、しないから良いのか…
小杉B「後で必ず通るからシカの所、いまは止めてだって。ガイドさん。」
俺「あぁ…そう…」
(通らなくても良いよ)と心の中でガイドさんに
念を送ったけど彼は気づいたのでしょうか?
続く
PS
動画を撮っている部分は流れが遅く
撮影禁止エリアは記憶しか情報がないため、下手なことをかけず流れは速くなります。
一気に14:00に