wakeupandpresentの日記

いつもは映像作品を作ってます。ここでは西田学くんの大冒険を載せていきます。

「西田学人生初の京都へ行く」第4話「バスガイドさんはなぜかわいそうだったのか」

第四話

8:52

ついに東海道新幹線のホームへ着いた。

周りのみんなはキャッキャうぴうぴと盛り上がっていた。

しかし俺は普段岐阜に行く際にこの新幹線を何度も見ているし、鉄道研究同好会

にも所属していなかったので。とくに騒ぐこともなく静かにしていた。

新幹線は9時出発だという。

少し時間があったので公式に持参が許可されていた唯一の電子機械っぽいもの

デジタルカメラを使い新幹線の無人の車内を撮る事にした。

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俺〈ごそごそ…ビデオを撮り出す〉

さっそく隣にいる小杉Bが反応した。

小杉B「何してんの?」

俺「いや…コレが新幹線なんだなぁっつって。」

小杉B〈カメラの画面に映り込む〉

俺「ちょ、俺ビデオに顔は写さないポリシーなの…」

小杉B「駄目」

俺「駄目じゃない。ちょっと手も出さないで…」

小杉B「ちょっと俺撮ってあげる。」 

俺「え、ちょ?誰撮んの?」

小杉B「お前撮ってやる。」

カメラをこっちに向けようとする小杉B。

俺「だから聞いてた?顔は写したくないって…」

小杉B「違う、間違えた、車内!  車内撮ってやる。」

俺「あぁ…なら良いけど…」

俺からカメラを奪って三秒。案の定カメラをこっちに向ける。

俺「バカやっろ」

当初無人の新幹線がもの珍しいと思い回し始めたこの動画だったが

気づけば俺の顔という全くもって珍しくも何ともない画が撮れてしまった。

俺「もう消す」

小杉B「ね〜え〜消すなっ」

俺「消します!」

小杉Bは自分が残したものを消されるのが嫌だったのだろう。

つねられてしまい結局消す事はできなかった。子供かアイツは!

 

ドアが開く。

先生の合図とともに車内へ人が流れ込む。

俺「3のDかEのどっちかだ」

座席はしおりにて配置が決まっていた。

後は個人個人がどれだけ素早く席に着き通路の渋滞を改善できるかだった。

出席番号で大体席は決められていた。

その後座席を回すなり席を交換するなりそれぞれの移動が始まった。

俺の隣はリクだった。

出席番号が俺の次だ。

彼はクラスでいう一部の人間と急激にテンションが高く

それ以外は低いというタイプの男だったため普段あまり意見を主張しなかった。

しかしこういうときに限ってその一部の人間が後ろにいるのだ。

たちまち彼のテンションはMAX。席を180度回転させ

素早くそいつと対面する形に。実はそいつ=上川とリクはクラスでも有名な犬猿の仲コンビなのだ。

たちまち出会えばその周辺は死闘と化す。

席で近いヤツは大変お気の毒な事になる。

彼ら2人が出会ってしまえば何らかの問題に発展するまで戦いは終わらないのだ。

例えば先日は彼ら2人が物を投げ合いしていて

その際に近くあったからなのかなぜか野菜生活が豪速球で投げられ

大爆発を起こした。

2人はもちろん新校舎が皮肉に思える程に周りの床がジュースまみれになった。

そんな彼らが車内で前と後ろになってしまいその横に俺がちょこんと座っているという構図現在の構図。

これは眠れそうも無い。

列車はテロリストにジャックされる事無く時刻通り出発して時刻通りに着いた。

景色もだんだんとビルが少なくなりそれに反発し緑が増えていった。

あとなぜかボイスチェンジャーのスピーカーを持ってきたヤツがいて

「翼を下さい」を熱唱していたらことごとく担任の白川先生に没収されてた。

車内で午前10時という早めの昼食もとった。

弁当はハンバーグ&海老フライ弁当。

いや〜旨かった。ごま塩が。

 

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11:33

 

その後無事目的地「新大阪」にとまり我々は長い間座っていた状態から体をのびのびできる状態になった。

と思ったらすぐさまバスへ入れられる我々、

聞く所によるとこのバスで最初の観光スポット「南大門」へ向かうのだそうだ。

何だよ。ぬか喜びしちゃったじゃん。

また座らせるんだったら新幹線内で事前に言っといてよ、

「新幹線は新大阪駅で降りますがそこから息もつかせずバスへ乗せるので

ここで座席の束縛からの開放感を期待している生徒達は絶望しますよ」って

しかしこのバスの乗車は先ほどの新幹線と決定的に違った点があった。

座席指定が無いのだ。そのため個人個人が好きな座席に座る事ができた。

そのため俺は部活仲間の小杉Bの隣に座る事ができた。小杉Bもこれは嬉しかったようだ。

新幹線では座席表が決まってる事を承知で俺にこっち来いって力強く言ってたからね。

あの人。ある人は景色をとりたいからと窓際に座り

ある人はトランプゲームを数人でやりたいからと通路側に席を取った。

また一番後ろは道をあける必要がなく一列くっついているような造りだった。

そこにこのクラスの良く言えばムードメーカー、悪く言えばめちゃやかましい人達が集結!

最後尾はオペラよりもうるさくなった。

 そんな座席指定が無い自由制度にクラスは文字通りの大はしゃぎ。

だがかわいそうなのがバスガイドさんだ。

ガイドという名の元必死に地域の名産物、史実を絡めた豆知識、地形や地理情報について、

熱く語るが当の語りかけられている我々が全く聞いていない。

例えばこんな調子だ。

ガイドさん「…本日はこの新大阪の駅を後にいたしまして」

我々「ウノ!」

ガイドさん「…奈良に向かいます。奈良はいっぱい見所がありまして…」

我々「8切り!」

本当にこんな感じだ。誰も聞く耳を持たない。

俺もはじめは聞いていた。

でも車内がうるさすぎた為、話を聞くというよりかは解読するに近かった。

その為永遠に息をつく事無く喋り続けるガイドさんは私にとって風車に立ち向かうドンキホーテのようにあまりに無謀な戦いに挑んでいるかのようで、

しまいには「どんな話をしているか」ではなく「どうやったらあの口を塞ぐ事ができるか」

に目的がすり替わってしまった。最終的には隣の小杉Bと

「もしガイドさんがガイドじゃなく別の仕事をしていたら」みたいな事について話しちゃってた。

 

続く

PS タイトルのなぜ構文は当時仮面ライダードライブが好きだったからです。