wakeupandpresentの日記

いつもは映像作品を作ってます。ここでは西田学くんの大冒険を載せていきます。

「西田学人生初の京都へ行く」第19話「思いもよらずたどり着いた観光スポットはどこだったのか」

ひたすら進む。

あても無い自転車の旅。

(いやあては十分に用意されている。)

 

サイクリング開始から小一時間、

回ったのは一カ所という中々のスローテンポの旅だが

思いのほか皆は旅を楽しんでいた。

水落遺跡をめざして彼らを車道に導いてしまった瞬間は

死を覚悟したが意外と楽しんでいる感じでほっとした。

しかし水落遺跡は相変わらず姿を見せない。

もはや俺が三上と小杉Bに殺されるまで拝ませないつもりなのか。

 

ある所に分かれ道があればとりあえず進路を変更し分かれ道に入る。

坂道が見えれば回れ右をして別の道を探す。

終始そんな感じで旅を続ける。本当に先が見えない。

気がつくと我々は太い車道からかなり細い路地へ迷い込んでいた。

俺「またなんか危ない感じになってきたなぁ

小杉B「おい大丈夫かよ!」

まずい、そろそろ小杉Bが機嫌を損ね始めている。

無理も無い。あてが無くペダルをこぎ続けるのは思った以上に辛く不安に駆られる。

そろそろ新しい展開が欲しい。なにかあてがほしい。

神様!まじ助けて!

そう天を仰いだときだった。

三上「ん?ここ甘樫丘って書いてあるよ」

小杉B「え?俺たち行くの水落遺跡でしょ?」

三上「あれ?ここも行く場所に入ってるぞ」

神は三上だった。

なんという偶然だ。

適当に運転したら水落遺跡ではなく甘樫丘にたどり着いてしまったのだ。

しかしここも観光するポイントの中に入っている。

甘樫丘はこの先100メートルと書いてあった。

俺「マジか!行こうぜ!」

やっと展開が進展した。

藁にも縋る思いで俺は率先して甘樫丘へ続く道へ入っていった。

 

水落遺跡の時のように看板に裏切られる事は無く甘樫丘はあった。

しかし安心したのも数分。

めっちゃ坂道を歩くのだ。

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自転車の駐車場があったので思わず下に自転車を置いてきてしまったが

四分で後悔した。

たしかに「ハイキング」って言う言葉は存在するよ?

山といったら「ハイキング」が浮かぶよ!?

動詞では「楽しみ体操などのために長距離歩く

名詞では「運動楽しみのための長時間の歩行

名詞にしろ動詞にしろ共通しているのはどちらも長距離を歩く意味を指す事。

うん。ふざけてる。

なんでそんな厄介な単語が山に結びついてしまったんだ。

キツすぎるだろこれは。

もう吐きそう。

俺水中運動が得意だから!陸上運動は管轄外だから!

という脳内主張もむなしく

傾斜は緩まない。

皆はというと、

小杉B「疲れたぁ!西田アァ!!」

三上「ふざけんなお前!!」

島田くん「水落遺跡に行くんじゃなかったの?」

 

はい叱責の嵐。島田くんはともかく

登る前と後で機嫌が悪くなった人が2人に増えた。

そもそもさっき神と思った三上までが怒ってる。

やっぱり俺に生きる道はないのか

ようやく傾斜が緩んだ。それでもまだ平行ではなかったが。

余裕が生まれたので辺りを見回してみる。

結構高い所まで来ていた。

今までは傾斜がきつすぎて地面だけを見て歩いていたので

急に瞬間移動したようだった。

俺「すげぇ!」

小杉B「やべぇ!」

三上「高けぇ!」

島田くん〈微笑み〉

全員気持ちが向上する。

さらに頂上に着いた。

その眺めをみて4人はもう大興奮だった。

小説とかで「疲れはどこかに飛んでいた」とかいうシーンは良くあるが

疲れは全く軽減しなかった。

第一「飛んで行く」ってどこへだよって突っ込みたくなる。

他の皆も疲れは抜けなかったと思う。

それでも俺はその景色が見れた事で十分意味があったと感じた。

しかもここでさらにサプライズ。

なんと修学旅行に同行してきたカメラマンさんがいたのだ。

どうやらカメラマンさんもここからの景色を撮りたかったらしく

重いカメラ機材を持ってこの山を登ってきていたらしい。

カメラマンさんは我々の事を景色に入れて撮ろうと言ってくれた。

俺「マジですか」

小杉B「すげぇ!」

三上「俺らが最初ですか?」

カメラマンさん「最初、最初、

生徒が登ってきたのは初めてだよ。」

俺「そんな隠れたスポットでもないのに何で誰も来なかったんだろう

島田くん「山登りがめんどくさかったんじゃない?皆、」

そうだった。俺たちがここにいるのは山登りを制覇したからだ。

カメラマン「じゃぁ撮るよ、寄って寄って。」

そして俺たち4人は写真を撮ってもらった。

ただ撮られたのではない。専属のカメラマンに撮ってもらったのだ。

カメラマンさん「もしかしたら卒業アルバムに乗るかもよ」

俺「ホントですか!?」

カメラマンさん「うん、写真を載せるコーナーに乗るかもね。」

小杉B「やった!!」

 

いや良いな。こういうの。

こういう苦労した人だけにそれ相応の何かしらがくるっていう感じ良いな。

水落遺跡の時には平岡生がみんな付いて来てしまったが

この甘樫丘は違った。本当に苦労した人だけが拝める景色なのだ。

結果として水落遺跡を探し求めた我々は甘樫丘にたどり着いた。

 

全く違った場所にたどり着いたが今としては良かったと思える。

なぜならビルが一本も立っていないあんな広範囲の景色を拝めたのだから。

(反対側は立ってた)

 

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美しい眺め

 

次の場所へ行くことになった。

下山している途中三上が「俺もこの景色撮ろうっと」

とかいってiPhoneを取り出した時はビビった。

全然そんなそぶりを見せずあくまで合法のようにナチュラルに出してきたのだ。

無理もない。この甘樫丘は地上からおよそ200m程高い場所に位置する。

言ってみればちょっとした天界なのだ。天界には携帯を規制する先生もバスガイドさんもいない。障害を隔てるものは存在しないのだ。

三上が安心して携帯を出すのも無理はない。

 

三上「よっし。撮ったぜ。」

三上がそのまま携帯をポケットに入れた瞬間、

「おぉ~い」

ガチの先生が来た。普段は数学を教えている先生だ。

本物語初登場である。

さすがにこの時は三上も顔が強張った。それはおそらくこの京都物語で

最も強張った顔であり後にも先にもでないだろう顔だった。

三上バレたか?全員がそのことを気にしている。全てはこの先生が次に発する言葉によって決まる。「没収だ」か「出せよ」か、あるいは「へし折ってやる」か。

先生は言った。

「綺麗だよねぇここら辺景色。」

セーーーーーーーーーーーーーフ

おそらく三上の中で審判のホイッスルが鳴ったことだろう。

安堵のホイッスル。三上セーフホイッスル。三上ホイホイ。

先生「初めてここで生徒を見たよ」

俺「あ、そうなんすか。やっぱりみんなこないな

先生「ん?やっぱりってのは?」

三上「いや俺たちさっきまで頂上にいたんすけど、

そこにカメラマンさんもいて話聞いたんす。」

その後先生は頂上まで行くと言っていってしまった。

しばらくして三上、

三上「あっぶねぇ~

でしょうね。俺から見ても本当に危なかった。

もしあそこで三上が写真を撮った後すぐにポケットにしまわず

その写真を確認していたとしたら完全に没収されていただろう。

三上はその後昨日の夜よりもやばかったと言っていた。

そんなにやばかったのか三上。てか昨日の夜何したんだお前。

 

下山後再び自転車を走らせることに。

目的地はあえて決めないという方針で行くことに。

決めることによってプレッシャーが増し道に迷う危険性を未然に防ぐ為だ、

という死から逃れるための言い訳だ。

でもみんなは納得してくれた。再びサドルにまたがりペダルを漕ぐ。

それでは行ってきます。どこかわからない次の場所へ、

続く

 

PS ほんとに時限爆弾を抱えながら旅をしてるようだった。