wakeupandpresentの日記

いつもは映像作品を作ってます。ここでは西田学くんの大冒険を載せていきます。

「西田学人生初の京都へ行く」第35話「京都の自由行動はどのような結末になったか」

お土産場はすでに平岡生が数人ほどいた。確かにお土産売り場は広く学校のカフェテリアよりも広かった。俺が買うお土産では消費物が中心になっている 。

今までは来たことを忘れないようにとご当地のキーホルーダーなど記念に残るものを中心に買っていた。

しかし時代ともにそのキーホルダーは邪魔なものでしかなくなっていく。

2010年らへんで記念コインを発行するのをやめた。

2011年のオーストラリア帰宅時には持ち帰ったキーホルダーの山を見てブックオフに売りたくなった。そして2012年を過ぎたあたりで自室の飾り場がなくなった。こうして俺のお土産は2012年の中頃からキーホルダーなどの残る系からお菓子や特産食品などの消費系に方向転換して行ったのだ。

あのシフトから2年。今では消費系万歳である。完全にお世話様になっている。

そんなわけで今回の京都旅行。例のごとくお土産を消費系にするために俺はお菓子コーナーへ足を運んだ。めまぐるしいほどのお菓子。八つ橋、抹茶菓子、羊羹、

せんべい、挙げ句の果てにはバームクーヘンというどう考えても京都発祥ではなくノリで入ってきたお菓子もあった。まぁ結果的に俺はそのバームクーヘンを買ったわけだが。だって好きなんだもん。あの抹茶のバームクーヘン。

「京ばぁむ」というバームクーヘンは京都のきれいな水と京都で作った抹茶を

クーヘンの生地に練りこんだ全体が深緑のバームクーヘンだ。一度父親が仕事で京都へ行った帰りの土産品に京ばぁむがあったがその味はとてつもなく美味しかった。甘さが控えめなところが俺は好きでパサパサしていない生地のふんわりさ

が兄は好きだった。俺はあと京ばぁむの他に和菓子を幾つか買って妹にはなんだかノートかペンのご当地グッズを買って行った。

小杉Bも京ばぁむは買っており他のみんなもそれぞれのお土産を買ったようだ。

こうして京都駅でのお土産買いが終わり我々は京都駅を後にした。

 

1559

 

いよいよ4時になる。

終わりが近づいていることを悟った俺はカメラを回し始めた。

それにカメラを撮った理由はもう一つある。

この半日。俺、小杉B、三上、小野田くんで行動した京都判別自由学習は最後の最後までハプニング続きだった。結局水泳部二人は小野田くんを受け入れなかったし

小野田くんも水泳部二人に語りかけるようなそぶりはとうとう見せずじまいだった。

それでも今水泳部二人は楽しかったと口々に言ってくれている。俺はこの二人が満足していた、最終的にはいい雰囲気になったよということを動画によって記録証明しておきたかったのだ。

俺「いや~、なんかもう終わりっぽいので今撮ってます。」

小杉B「もう修学旅行も終わりだ。」

俺「三日目、ね。どうなるかと思ったけど午前中。

なんかいい感じで終わったね、こういう感じでね。京ばぁむ買えたし。」

小杉B「いいね~いいね~。」

俺「よかったよかった。」

三上「何撮ってるの、動画?」

俺「なんかちょっと、

ハッピーいい感じに終わりそうだからここで終わりの動画をね。」

小杉B「よかったな。なんだかんだあったりしたけど。」

 

最終的にこの動画はカメラの主導権を田中Bに奪われた挙句

彼の独断でつまらないと判断され強制的に127秒で打ち切られたが

俺にとっては紛れもなく消せない動画になった。証拠として。

そして一つ余談だがこの動画は同時に

 

俺「じゃ、豆腐いただきます!」

小杉B「腐ってるそれ、」

俺「うん、冷たい!」

小杉B「腐ってるなそれ、」や

 

小杉B「いや、コレ西田に無理やり撮れって言われたんですよ。」

俺「嘘を付けよ。」

俺「俺が寝ている間、手の握力が弱くなったときに盗みやがって。」

小杉B「西田に無理やり撮れクソ野郎って言われたんですよ、」

 

わざと俺が嫌がる言葉を言ったりああいえばこう言ったりと俺を困らせてきた小杉Bが終始まっとうに一切の悪意なく俺に受け答えしてくれた初めての動画でもあった。

 

こうして俺らの班は約束の四時半にゆうゆうと余裕を残して石長松菊園に着いた。

 

1610

 

石長松菊園に数時間ぶりに戻ってきた俺たちは着いた後すぐ旅館の男の人に

荷物発送用の荷札をもらい記入することについて説明を受けた。

行きの際の荷物については

貴重品、よく使う品物などを入れた小さいリュックだけを持ち運んで

衣服や多少手荒にあつかわれてもいいと思った品物を入れた大きいバックはあらかじめ117日以前に一旦校内に集めて発送によって1日目の旅館先で初めて対面した。そのため帰りも同じシステムを取る必要があったが行きと違い帰りでは郵送票を両親ではなく自分で記入する必要があるのだ。

旅館の男の人「こちらの、また詳しいことは夕食時にお話しするんですけれども、

このように伝票に必要事項を書いて欲しいです、で、黒いボールペンで強く書いておいてください。わからないところがあったら、あの、こちらに来て頂いて結構なので時間がある時に書いといてください。」

俺「はい。」

 

その後俺たちは宿泊部屋へ戻り入浴への準備をし始めた。

実は修学旅行三泊四日のうち入浴の機会は三回設けられるが三日のみ入浴が今までと違い夕食の後に組み込まれている。

なぜわざわざ入れ替えたのか。実はこの入れ替えは学校の先生たちによる我々に快適な時間を過ごさせようと必死に考えた一環なのだ。先生たちは一切口には出さないがかなりの会議をこの修学旅行実現のために経ている。俺たち平岡生がこれをした後はどんな状態か、どう思っているだろうか、などをいちいち紙面上で一生懸命に話し合い細かく予定の調整を行うのだ。

今回の京都判別自由学習というイベントは午前午後を合わせたこの三日間で最も長い時間を要するイベント、11月だがその気候の暑さは昨日の明日香村サイクリングの俺たちを見ればわかるだろう。それが午前や午後だけでなく丸々1日あるのだ。終わった頃には体は疲労困憊、汗は吹き出し尽くされ足は歩き果てた状態になっている。

先生達はそんな疲労困憊の俺らの状態、汗がべとついて不快な気分になっている俺らの気持ちを会議段階で予想して食事より先に入浴を組み込んだのだ。

平岡の先生の努力は人には知られない。第一先生達は一切口にしない。

しかし俺は毎回感じる。

修学旅行のしおりの三日目の行動予定表の食事と入浴の

入れ替えの表記を見るたびに頑張ったのだと感じるのだ。

そんなわけで俺はこの最終日の入浴は彼らの頑張りに感化され

特別長く入浴してやろうと心に決めていた。

予定によると食事は6時半から。周りが許すなら一時間だって入ってやろうと思ってた。早く風呂から上がったことにより中途半端に食事まで時間が余る。

結果その中途半端な時間を中途半端に過ごしてしまう。それよりかは風呂に食事までの間移住してしまう方がよっぽど暇が潰せると思ったのだ。

風呂には班全員で向かう。温泉ののれんをくぐる前に二日目我々を山で撮ってくれたカメラマンさんによる撮影があった。その後我々は風呂場へと向かった。

石長松菊園の風呂場は御所、金閣銀閣と名のついた3つの銭湯に分かれる。

そのため最大三泊しても銭湯にマンネリ感を感じることはない。

俺たちは2泊なのでするわけがなかった。脱衣所は相変わらず混み合っていた。

周り全体が平岡生だ。ここ一般のお客さんもいるんだよな。と一瞬考えたが

小杉Bと中に入り体を洗い湯に浸かった時にはそれはすっかり忘れていた。

小杉Bはこれからどうなる予定なのか、明日は家に帰って何をするか、など

いかにも旅行の終盤に交わされるような会話を交わした。

湯はとても気持ちが良かった。体の汗が取れるのを感じた。それまでは肌に手を滑らせると必ず皮膚同士で突っかかっていたのが見事に滑りが良くなった。

湯に入りお肌がつるつるになるという話はもしかしたら美肌効果ではなくただ

湯に入ることによって肌についた、あるいは分泌されたものが取れるからではないかと思ったりもした。小杉Bは初めこそ楽しそうに俺と話しをしていたが俺があんまりにも気持ちが良くて普段は気を使い静寂時には必ず率先して話題を出し静寂を10秒以内に止めることをガチ放棄していたおかげで小杉Bばかりが話すことに、やがてその話題も尽き静寂が数分訪れた途端。

小杉B「出よう。」

言い放ったのである。ここまでの所要時間は4分です。運転お疲れ様でした。

いやその手には乗らない。ダメだってこいつにつられちゃ、もうはや三日目だぞ今日で、いい加減学べ西田!いままでは単純に小杉Bが言った無理難題に反対したから強制的に実行された。それでは今回は方向転換してみるというのはどうだろう。

俺「まぁとりあえず頭洗おうぜ、」

小杉B「そのまま出るぞ。」

ダメだ相手が忘れてくんねぇ。どんだけ出たいんだこいつ。もう頭洗う話題に変わったの!その話題忘れるの!時代は流れるもんなんだよ!

って言えるわけもなく結局小杉Bの最後のセリフに押されたまま頭を洗う。

ゴシゴシゴシゴシ

俺は横に座る小杉Bをみて頭を洗うふりをして頭を掻きむしった。

あ~またこいつにしてやられんよー俺ー。

何も変えられんよーわかってんのにー。

また俺はこの男のいいなりになり自分がたてた

食事までの間ここに移住する計画は果たせずじまいかよ

そう思いながら頭を洗っていたその時。

バッシャァアアアアン!

俺「つぅううううんめって!」

急に横から冷水が流れ込んできた。体温が低下するのを感じた。

なんだ。一体なにが起きた。なんのディザスターだ!?

え?横。この横って展開見覚えがある。

で例によって隣を見ると満面の小杉B

小杉ぃいいいいいいいいいいい~お前というやつは

小杉は洗面器に水一杯を入れ俺にぶち当ててきたのだ。なんの罪もない俺に!

いいさ。そっちから始めたんだからな?やっちゃうよ?ボクやっちゃうよ?

やっちゃっちゃっちゃ!俺は洗面器に水をためる時間に攻撃されることを予測し即効性で攻撃性のあるシャワーで冷水を浴びせた。

俺「この野郎!小杉っ!」

ブシャーーーー!

小杉B「うぉおっォオイ!」

一瞬ひるんだ小杉だがすぐに野獣のような声で俺を威嚇する。

どうして俺たちはまともに洗顔すらできないのか。戦争は激化していった。

 

 

ps 一番書きたかった京都班別自由学習編が終わりました。

 これから最も長い夜へ向かっていきます。